下痢が続く方へ|考えられる原因と受診の目安
「水のような便が何度も出る」「食後すぐにトイレへ行きたくなる」「下痢が何日も続いている」といった症状でお困りではありませんか。
下痢は、食べ過ぎや飲み過ぎ、感染性胃腸炎などによって一時的に起こることもありますが、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など、腸の病気が背景にある場合もあります。
また、下痢の原因を考える際には、便の状態だけでなく、腹痛や発熱、血便、体重減少の有無、どのくらいの期間続いているかを確認することが大切です。
特に、下痢が長期間続く、血便がある、夜間にも下痢で目が覚める、体重が減ってきたといった場合には、自己判断で様子を見続けず、一度原因を調べることをおすすめします。
当院では、症状の経過や便の状態を詳しく伺い、必要に応じて大腸カメラ検査や血液検査などをご案内しています。
下痢とは
下痢とは、便に含まれる水分が多くなり、普段よりやわらかい便や水のような便が出る状態です。
一般的には、軟便や水様便が繰り返し出る、排便回数が普段より増えるといった変化として現れます。
一度だけ便がやわらかくなったからといって必ずしも病気ではなく、食事内容や体調によって便の状態が変わることもあります。
| 下痢の状態 | 特徴 |
|---|---|
| 軟便 | 形はあるものの、普段よりやわらかい便 |
| 泥状便 | 形がほとんどなく、泥のような便 |
| 水様便 | 水分が非常に多く、ほぼ液体状の便 |
| 頻回の下痢 | 短時間に何度もトイレへ行く |
| 腹痛を伴う下痢 | 排便前後に腹痛や腹部不快感を感じる |
| 血液を伴う下痢 | 便に血液や粘液が混じる |
下痢は続いている期間によっても考え方が異なります。
突然始まって数日程度で改善する場合には感染性胃腸炎などの急性の原因が多く、数週間以上続く場合には、慢性的な腸の病気や機能異常なども考える必要があります。
また、下痢が続くと体内の水分や塩分が失われ、脱水につながることがあります。特に頻回の水様便がある場合には、便の回数だけでなく水分を十分に摂れているかも重要です。
下痢の主な原因
下痢には、食生活による一時的なものから治療が必要な病気まで、さまざまな原因があります。
食べ過ぎ・飲み過ぎ
脂っこい食事やアルコールの摂り過ぎによって腸の動きが活発になり、下痢を起こすことがあります。
また、冷たい飲み物を大量に飲んだあとなどに、一時的に便がゆるくなる方もいます。
原因となる食事がはっきりしていて、短期間で元の便に戻る場合には、一時的な腸の不調であることもあります。
感染性胃腸炎
ウイルスや細菌などの感染によって胃腸に炎症が起こる病気です。
急な下痢のほか、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などを伴うことがあります。
食事をきっかけに発症した場合や、周囲に同じような症状の人がいる場合には感染性胃腸炎が疑われることがあります。
血便や高熱、強い腹痛を伴う場合には早めの受診が必要です。
過敏性腸症候群
腹痛や腹部不快感とともに、下痢や便秘などの便通異常を繰り返す病気です。
朝になると下痢をする、通勤・通学前になるとトイレへ行きたくなる、排便すると腹痛が軽くなるといった症状がみられることがあります。
ストレスや緊張がきっかけになることもありますが、最初から「ストレスのせい」と決めつけず、大腸にほかの病気がないか確認することが大切です。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸に慢性的な炎症が起こる病気です。
長く続く下痢のほか、血便、腹痛、発熱、体重減少などがみられることがあります。
症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す場合もあり、診断には大腸カメラ検査や組織検査などが必要になることがあります。
薬の影響
抗菌薬など、一部の薬によって下痢が起こることがあります。
新しい薬を飲み始めてから便がゆるくなった場合には、服用している薬が関係していないか確認します。
ただし、自己判断で処方薬を中止せず、医師にご相談ください。
大腸がんなどの大腸疾患
大腸がんでは、腫瘍によって腸管が狭くなるなどして、便秘と下痢を繰り返したり、便が細くなったりすることがあります。
血便や貧血、体重減少などを伴う場合もあります。
「下痢だけだから大丈夫」とは限らず、以前と明らかに便通が変わった場合には大腸の確認が必要です。
このような下痢がある場合はご相談ください
一時的な下痢ですぐに改善する場合には、経過をみることもあります。
一方、次のような症状がある場合には、一度ご相談ください。
| 症状・状態 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 下痢が数日以上続いている | 感染症など一時的な原因以外も確認します |
| 下痢を何度も繰り返す | 過敏性腸症候群など慢性的な病気も考えます |
| 腹痛を伴っている | 腸の炎症や機能異常などを確認します |
| 便に血や粘液が混じる | 炎症性腸疾患などがないか確認します |
| 朝や食後に毎回下痢をする | 腸の動きや生活習慣との関連を確認します |
| 便秘と下痢を繰り返す | 大腸の病変がないか確認することがあります |
| 夜中にも下痢で目が覚める | 慢性的な腸疾患がないか確認が必要です |
特に、数週間にわたって下痢が続いている場合には、慢性下痢として原因を調べる必要があります。
症状を長く繰り返している方のなかには、「体質だから」「昔からお腹が弱いから」と考えている方もいますが、以前と症状が変わった場合には一度ご相談ください。
早めの受診をおすすめする症状
下痢に加えて、次のような症状がある場合には、早めに医療機関を受診してください。
- 血便や大量の下血がある
- 黒い便が出ている
- 高い熱を伴っている
- 強い腹痛が続いている
- 嘔吐が続き、水分を摂れない
- 1日に何度も水様便が出ている
- めまいやふらつき、口の渇きが強い
- 体重が減ってきている
- 貧血を指摘されている
- 夜間にも頻繁に下痢が出る
頻回の下痢では、水分だけでなく塩分なども失われます。尿の量が減る、強い口の渇き、立ちくらみなどがある場合には脱水が進んでいる可能性があります。
また、血便や発熱、強い腹痛を伴う場合には、感染性胃腸炎や炎症性腸疾患なども考える必要があります。
市販の下痢止めが適さないケースもあるため、症状が強い場合には自己判断で薬だけを使い続けないことが大切です。
下痢が続く方におすすめする検査
下痢では、続いている期間や便の状態、腹痛・血便の有無などによって必要な検査が異なります。
特に、慢性的な下痢、血便を伴う下痢、体重減少などがある場合には、大腸カメラ検査が重要です。
大腸カメラ検査
大腸カメラ検査では、大腸の粘膜を内側から直接観察します。
慢性的な下痢がある方では、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がん、大腸ポリープなどがないか確認できます。
必要に応じて粘膜の一部を採取し、組織検査を行うこともあります。
| 大腸カメラで確認すること | 主な内容 |
|---|---|
| 大腸粘膜の炎症 | 潰瘍性大腸炎などを疑う炎症がないか確認します |
| 潰瘍やびらん | 腸粘膜に傷や潰瘍がないか確認します |
| 大腸ポリープ | ポリープの有無や形、大きさを確認します |
| 大腸がん | 腫瘍性病変や狭窄がないか確認します |
| 出血の原因 | 血便を伴う場合に出血源を確認します |
下痢を長期間繰り返している方や、血便・体重減少などを伴う方では、大腸カメラ検査をご検討ください。
血液検査・便検査
急性の下痢や発熱を伴う場合などには、症状に応じて血液検査や便検査を行うことがあります。
| 検査 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 血液検査 | 炎症、貧血、脱水の影響などを確認します |
| 便検査 | 細菌など感染症の原因を調べることがあります |
| 大腸カメラ検査 | 大腸粘膜の炎症や腫瘍性病変を確認します |
急性の下痢と慢性的な下痢では、必要な検査が異なります。
症状の経過を確認したうえで、必要な検査をご案内します。
当院での下痢の診療について
下痢の診療では、「いつから」「1日に何回程度」「どのような便が出るのか」を確認することが重要です。
便の状態だけでなく、腹痛や発熱、血便、食事との関係なども詳しく伺います。
| 診察時に確認すること | 具体的な内容 |
|---|---|
| 症状が始まった時期 | 急に始まったのか、以前から続いているのか |
| 排便回数 | 1日に何回程度トイレへ行くか |
| 便の状態 | 軟便、泥状便、水様便、血便など |
| 一緒に現れる症状 | 腹痛、発熱、吐き気、体重減少など |
| 食事との関係 | 特定の食事後に症状が出るか |
| 服薬状況 | 抗菌薬など新しく始めた薬がないか |
これらを確認し、必要に応じて大腸カメラ検査、血液検査、便検査などを組み合わせて原因を調べます。
また、下痢があるときには脱水を防ぐことが重要です。
| 日常生活で意識したいこと | ポイント |
|---|---|
| 水分をこまめに摂る | 一度に大量ではなく少量ずつ補給します |
| 消化のよい食事を選ぶ | 食べられる範囲で胃腸への負担を減らします |
| アルコールを控える | 下痢が続いている間は刺激を避けます |
| 脂っこい食事を控える | 腸への負担を減らします |
| 便の状態を確認する | 血液や黒色便が混じっていないか確認します |
ただし、下痢が長く続く場合には、食事だけで改善しようとせず原因を確認することが大切です。
下痢についてよくある質問
下痢は何日続いたら病院へ行ったほうがよいですか?
食事や一時的な胃腸炎などによる下痢は、数日で改善することもあります。
ただし、数日経っても改善しない、症状が強くなっている、血便や発熱を伴う場合には早めにご相談ください。
数週間以上続く場合には、慢性的な腸の病気についても確認する必要があります。
下痢が続く場合は大腸カメラを受けたほうがよいですか?
すべての下痢で大腸カメラが必要というわけではありません。
一方で、慢性的に下痢を繰り返す、血便がある、体重が減っている、夜中にも下痢が出る場合には大腸カメラを検討します。
症状や年齢、これまでの検査歴などを踏まえて判断します。
ストレスで下痢になることはありますか?
あります。
過敏性腸症候群では、ストレスや緊張によって腸の動きが活発になり、腹痛や下痢が起こることがあります。
ただし、慢性的な下痢を最初からストレスのせいと決めつけず、大腸に明らかな病気がないか確認することも大切です。
下痢止めを飲んでも大丈夫ですか?
原因によって異なります。
感染性胃腸炎などでは、自己判断で腸の動きを強く抑える薬を使用することが適さない場合もあります。
高熱、血便、強い腹痛などを伴う場合には、市販薬だけで対応せず医療機関へご相談ください。

